当店に自家特製品の「鱈の親子漬」がございます。それは明治期頃に始められたとされ、現在まで途絶えたりもしながら作り続けられています。新潟県内でもいろいろな店舗、業社で製造されているようですが、製造方法、仕込み方などでそれぞれのお店の味が生まれているようです。

当店の品は全体的に茶色掛かり、酢と鱈の子を醬油中心の調味料で味付けするため、その色合いは正に雪で解けた冬の土を感じさせます。昨今は道路も舗装されたところが多くなり、そのような風景を見ることも少なくなってきましたが、そんなところにノスタルジーを感じられる方も多いのではないでしょうか?
お味の方はお好みもございますが、なかなかの逸品と自負しております。

厳しい寒さの冬にこれといった生計を立てる手立てのない海側地域で考案されたモノと察せられ、料理の1品としてやお遣い物、お土産品として重宝されてまいりました。

製造工程をご説明しますと、北海道で水揚げされたスケソウ鱈の塩蔵冷凍品の剥き身を解凍し、長時間かけて塩出しをします。その後小骨や余分な部分を除去する下拵えをし、それを3~5cmの細切りにしたモノを約2日半酢に浸けます。それを取り出し重石を置いて一定時間絞った後、味付けした真鱈の子と砂糖を程よく混ぜ、そこに千切りキクラゲと千切り生姜を加えてでき上がります。

和えればすぐに召し上がれますが、時間の経過により酢と鱈、鱈の子の関係により水分の量に変化が出てきます。ある時は霙の降った土の様になったり、またある時は水気がなく鱈の身に子を塗しだけのようにもなります。まるで生き物です。
分量、時間などを一定にすればほぼ毎回、同じベストの製品ができそうですが、食べる方の嗜好もあるため、今のところは基本を原に作り手の判断にゆだねる形になっています。

主に酒の肴や食事の1品になっており、お歳暮や引き物などのお遣い物にお馴染みのお客様にご用命をいただいております。

冬の期間は油断すると栄養のバランスが悪くなったり偏ったり不足したりしがちですが、長い間見たり賞味したりしておりますと、鱈の親子漬はそれらにブレーキを掛けてくれる食品の1つのように感じております。

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